非侵襲超音波診断・治療統合システムに関する研究
非侵襲超音波診断・治療統合システムとは、呼吸等により移動する患部を超音波画像から抽出し、追従・モニタリングしながら、超音波を集束させてピンポイントに患部へ照射する治療(HIFU治療)を行うものであり、患者の皮膚表面を切開することなく、非侵襲かつ低負担に癌組織や結石の破壊を行うことを目的とする。具体的には、2方向からの超音波画像により患部の3次元位置を抽出し、画像追跡技術を利用して患部の運動補償を行なう非侵襲超音波診断・治療統合システムを構築している。
生体適合型骨切除デバイスに関する研究
人工関節置換術において、骨切除の精度は医師の技量に左右され、また、骨切除用ボーンソーの位置決め精度やたわみ等に起因する誤差が生じる。骨切除中の発熱による骨組織の壊死を防ぐため、厳しい温度制約が存在することも手術を困難にしている原因である。そこで、骨の加工特性を観察することで得られた知見を基に、高能率・高精度・低温度の条件を同時に満たす生体適合型加工法,および,工具を開発している。具体的には、骨に生じる亀裂方向の制御や、単一工程で荒加工・仕上げ加工を実現する多刃工具を開発している。
微細加工技術を用いた工具表面の機能化に関する研究
近年、微小な凹凸加工や薄膜生成といった半導体加工技術を応用した工具への機能付与が行われている。本研究室では、工具のすくい面上に微小熱電対構造を作製することで、切りくず接触面での温度分布をインプロセス計測可能とした工具一体型温度センサアレイを開発している。本構造によって、加工温度の被削材への影響を詳細に検討することができ、また、温度制約に基づく加工の動的制御が可能となる。
硬脆材料の精密加工に関する研究
タングステン合金やエンジニアリングセラミックスといった硬くて脆い材料は硬脆材料として分類される。硬脆材料は機械加工が困難な難削材であり、本研究ではその精密加工技術を開発している。新たな発想と原理に基づく加工法を提案し、加工実験によりその有効性を検証する。具体的には、タングステン合金に対する切削バニッシング加工、セラミックスに対する高温切削を行っている。
物理的特性に基づく再生軟骨の評価法に関する研究
膝関節軟骨の疾患である変形性膝関節症(Osteoarthritis)において、近年、再生軟骨を移植する治療法が試みられている。しかし、再生軟骨を移植した部位が手術後に正常な機能を持つまで回復したことを定量的に評価する方法が未だ確立されていない。本研究では、再生軟骨の粘性や弾性を測定することにより再生軟骨を評価するデバイスの開発を行っている。このデバイスは、関節鏡手術と呼ばれる低侵襲手術で使用可能なプローブ型であり、臨床応用を目指して開発を進めている。
骨折整復手術支援システムに関する研究
大腿骨骨折整復術では、牽引のための医師の体力的負担や、X線透視による被爆が問題である。 このような問題を解決するため、骨折整復支援ロボットシステムの開発を行っている。 開発中のシステムは患者のCT画像を用いた術前計画システムと、 アーム型X線装置や骨折整復ロボットなどによって構成される術中支援システムとから成る。
手の外科手術支援システムに関する研究
手首の骨折のうち8割は舟状骨骨折であり、ワイヤによる仮固定とスクリューによる本固定によって治療される。 本研究では仮固定用ワイヤの刺入位置・姿勢精度の向上を目指し、ワイヤ刺入ガイドの自動位置決めシステムを開発している。
超音波遠隔医療診断システムに関する研究
情報ネットワークを用いることによって、遠隔診断が可能となる。 本研究では、汎用性の高い超音波診断装置を用いた遠隔診断システムを開発している。 具体的には、透析肩を対象としたシステムを構築している。 超音波診断においては、超音波プローブを患者の適切な位置に適切な角度と押し付け力で押し付ける必要があるとともに、 診断中に患者に動作をさせる必要がある。 このため、ただ単に静止した超音波画像を送るだけでは不十分である。 そこで、双方向にマルチモーダルに情報を伝送するシステムを構築し、 特に、超音波プローブを把持するスレーブ・マニピュレータから医師の操作するマスタ・マニピュレータに 力帰還できるようなシステムとした。 さらに、診断のモードに応じた制御アルゴリズムを開発した。
超精密位置決めシステムに関する研究
数mmの移動範囲全域に渡り、高い分解能と高い直進性を有する位置決めシステムの開発を行っている。
ガラスの微細加工に関する研究
脆性材料の切削加工において、切り込み深さを十分小さくすれば、延性モード切削が可能であることが知られている。 しかし、通常の切削方法では臨界切り込み深さはサブミクロン程度である。 そこで、本研究では微細切削効率の向上を目指し、臨界切り込み深さを増大させるために、 ねじり振動切削加工法や圧縮応力を加える切削加工法の開発を行っている。
UVレーザ加工システムに関する研究
UVレーザによる微細加工では、形状の制御が困難であること、脆性材料ではクラックが発生することが問題であり、 任意の微細形状を精度よく加工することは困難である。 本研究では、ガラスなどの脆性材料を対象に、 UVレーザの微細加工機構の解明と新たな加工法の開発の両方の観点から上記問題の解決に取り組んでいる。
ウォータージェット加工システムに関する研究
ウォータージェット加工は水の圧力を利用して砥粒を工作物に照射して形状創成を行う加工法である。 従来、この加工法に適用可能な砥粒は高々#400程度であった。 これに対して、微細な砥粒得尾導入する方法を開発した。 この方法を用いて人工股関節骨頭の超精密仕上げや、 ガラスのような脆性材料の微細加工をおこなっている。
高速工作機械の熱変形能動補償に関する研究
工作機械の熱変形は大きな問題であり、これを能動的に補償する研究を行っている。 高速工作機械の構造体の変形量を、独自に開発した変形センサで測定し、 その情報を用いて工具端での熱変位を推測する。 次に、構造体の熱変形を能動的に発生させる熱アクチュエータによって 工具端での熱変位の補償を能動的に行う。 特に、実加工中の熱変形を低減させるシステムの構築を行っている。